読書ログ:『洞爺丸はなぜ沈んだか』

洞爺丸はなぜ沈んだか (文春文庫)

洞爺丸はなぜ沈んだか (文春文庫)

日本海難史上最大の惨事(by Wikipedia)である洞爺丸事件を描いたノンフィクション小説。

当然ながら今ほど気象観測が発達していない時代に、過去類を見ないような台風に直面した上での近藤船長の判断を間違いと断ずることは自分ではできないなと思った。月並みな表現ながら、大自然の前では人間は無力。

読書ログ:『師匠、御乱心!』

師匠、御乱心!

師匠、御乱心!

40年前に世間を賑わせた(らしい。生まれる前なのでリアルタイムで知ってるわけなし)落語協会分裂騒動。

円生の直弟子で、真打昇進直後に騒動に巻き込まれた三遊亭円丈が自身の経験に基づいて当時を記述したのが本書。30年ほど前に出版されたものが最近になって加筆修正されて再販された。

読んで分かるのはとにかく円丈が円楽を嫌っていること(笑。先代円楽と言えば笑点のイメージが強い。そのお陰で円楽と言えば豪快でさっぱりした人物で、周りの信頼も厚いように見えていたが、事実はだいぶ違ったんだなーと。

笑点=落語界ではない。久しぶりに落語聞いてみようかな。

読書ログ:『ライブ・エンタテインメントの社会学』

スポーツイベント、音楽フェス、祭りなどのライブ・エンタテインメントの社会的意義を、「受け手」の能動性、日常生活との連続性、の2点を軸に検討した論考。

特に後者の理論的考察における「楽しさ」と「快楽」や「暇にならないための余暇・自由時間」「暇ではない余暇・自由時間」などの類型化は興味深く、余暇に関する社会学理論に学生のうちにもっと触れとけばなと思った。

そもそもは最近自分が音楽ライブ、フェスによく行くので、それについての論考をいろいろ探して本書に辿り着いた訳だが、音楽ライブ・フェスは「受け手」に能動性はあるものの、「楽しさ」を醸成する「身に付く」機会ではないとのこと。残念。

論文をまとめたもので文章のプロが書いたわけではなく、校正もいないっぽいので冗長な記述や展開を追いにくい文章が目立つのが玉に瑕だった。

夏フェス革命 ー音楽が変わる、社会が変わるー

夏フェス革命 ー音楽が変わる、社会が変わるー

フェスに限ればこっち。

読書ログ:『2週間でできる! スクリプト言語の作り方』

2週間でできる! スクリプト言語の作り方 (Software Design plus)

2週間でできる! スクリプト言語の作り方 (Software Design plus)

長く役に立つ知識は低レイヤーの知識だろう、ということで突然コンパイラについて勉強しようと思い立って読んだ。

簡単なスクリプト言語Javaで一から作ろうという本。著者作成のライブラリを一部使っているので本当に一からかどうかは怪しいのはご愛嬌である。

一応写経もしたが付け焼き刃でどれだけ知識が身に付いたか分からないが、自分にとって新しい概念、知ってはいたが理解しているかは怪しい概念を仕入れるのはやはり楽しい。とはいえ日々の業務にどれだけ役立つかは分からないが……(というか最近開発職でもない気が)。

Rubyで作る奇妙なプログラミング言語 ~Esoteric Language~

Rubyで作る奇妙なプログラミング言語 ~Esoteric Language~

こちらはRubyで作るやつで、コンパイラ入門というよりは言語マニア向けの内容。大昔に読んだがまた読んでみようかな。

読書ログ:『陰謀の日本中世史』

陰謀の日本中世史 (角川新書)

陰謀の日本中世史 (角川新書)

突然の謎の中世ブームを巻き起こした「応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)」の著者による「陰謀」を軸にした中世日本史上の様々な事件の解説書および俗説珍説の批判書。便乗書ではなく構想自体は『応仁の乱』以前からあったらしい。

書評なんかでは「ガチの歴史学者が世にはびこる俗説珍説を滅多斬り!」みたいなニュアンスのもあるみたいだが、実際に読んでみると終盤の本能寺の変関ヶ原以外ではあまりそういう感じはなく、中世日本の陰謀事件の数々について、俗説および過去の学説に対し歴史学的手法により批判し、現在の主流の学説や自説を展開するという普通の歴史解説書の趣が強い。これについては俗説珍説が多い時代=人気のある時代=織豊期という事情もあるのだろう。

とはいえ源平合戦応仁の乱など有名な出来事についても俗説と最新の学説ではかなり隔たりがあるというのがよく分かり面白いし、俗説と(現時点で妥当性が一番高いとされる)史実を丹念に比較していくことで、陰謀論の特徴が見えてくる興味深さもある。

著者曰く陰謀論疑似科学に通じる面もあり、本能寺の変の真相がどうであろうと人生に大した影響はないが、間違った民間療法は命に関わる。なので陰謀論リテラシーを高めて疑似科学にも騙されないようになろう、とのこと。その通りだと思う。

読書ログ:『狼は帰らず アルピニスト・森田勝の生と死』

[まとめ買い] 神々の山嶺(集英社文庫)』に登場する孤高のクライマー・羽生丈二のモデルとなった森田勝の一代記。ところどころに夢枕獏の小説のエピソードのモデルとなったと思われる出来事、記述が現れて面白い。

羽生丈二は登山を始めた最初から天才クライマーであり、人間的にも確立された一人の人物として描かれているが、実際の森田勝は技術的にも人間的にも未熟なところから成長を重ねてきたという当然の事実がよく描写されている。特に面白いのは、森田の若い頃から付き合いのあった同世代のクライマーと、歳を重ねてから出会った年下のクライマーとで森田評が全く異なる点。恵まれない境遇、コンプレックスから始まった森田の登攀遍歴だが、「三スラの神話」で一度それらを跳ね返したことで人間的にも大きな変化があったことを伺わせる。

にもかかわらず、おそらくは心の奥底、芯の部分は変わっておらず、それがグランド・ジョラスへの執念となり滑落死へと繋がっていくラスト。人の業の深さと言ってしまうとなんとも安直な表現だが、純粋すぎて一般社会には馴染めなかった森田勝らしいと言えばらしい最期なのかも知れない。

映画は散々だったらしいが原作小説は抜群に面白い。

長谷川恒男 虚空の登攀者 (中公文庫)

長谷川恒男 虚空の登攀者 (中公文庫)

同じ作者による森田のライバル、長谷川恒男の伝記。こっちも読んでみようかな。

読書ログ:『砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるか?』

W杯の予習として読んでおこうと思ったら結局読了したのはW杯終了後という残念な展開。でも面白かった。

内容としては「5レーン理論」という現代サッカーの主流理論を軽く紹介した上で、ハリルのアルジェリア、日本での代表的な試合を取り上げ解説。ハリルが現代サッカーの潮流と日本代表の現実との狭間で「何をやりたかったのか」を明らかにしていくもの。

たまにサッカー見るんだけど、この辺の高度な戦略、戦術論になるとさっぱり分からなかったので図を交えて丁寧に解説してくれて分かりやすかった。願わくばハリルだけでなく欧州の強豪クラブチームの戦略、戦術も同じ作者に解説してほしいと思うぐらい。

もともとはW杯でのハリル采配をより楽しむための副読本として計画し書かれていたが、〆切直前で解任が発表されたため急遽構成を見直したらしい。本書でも、また各所でも言及されているが、やはり直前での解任となりこの4年間の成果を検証する機会が失われてしまったことはとてつもなく大きな損失のように思える。

本戦では「上がアレでも監督含めた現場の頑張りで結果を残してしまう→本質的な課題が覆い隠されてしまう」という日本社会の縮図。哀しい。次は森保監督でオールジャパン体制って大丈夫なんだろうか果たして。

解説者の流儀

解説者の流儀

CS見る人には既にお馴染みだったが、日韓大会で赤モヒカンだったイメージしかなかった戸田和幸がいつの間にか非常に優れた解説者(そしておそらくは優れた指導者)になっていたことが今回のW杯で全国に知れ渡ってしまった。というかテレ朝以外の民放の解説陣(+山本昌邦)がひどすぎるのだが……